平成13年

天皇陛下 http://archive.fo/hc1Jo

皇后は,育児のために公務や私の生活に支障を及ぼさないよう常に心遣っていました。また,昭和天皇香淳皇后が育児を許してくださったことへの感謝と,周囲の人々に助けられて育てているという自覚を常に持っていたことを,私はうれしく思っています。


報道上のことになりますが,プライバシーを守ることは,他人の尊厳を守ることであり大切なことです。また,プライバシーに関する誤った報道は,これを正すことは非常に難しく,時には,長期間にわたって誤った報道が社会に流れていくことになります。おかしな例ですが,私が「柳行李一つで」と皇后に結婚を申し込んだと今も言われていますが,このようなことは私は一言も口にしませんでした。

自分の役割を深く考えるようになったのは,結婚を境にしてでありました。比較的早く3人の父となり,その間に公務も増え,昭和天皇の名代として外国を訪問することもありました。私にとり,家族は大切でありましたが,昭和天皇をお助けし,国際儀礼上の答礼訪問を含め国や社会のために尽くすことは,最も重要なことと考えていました。皇后が私のそのような考えを十分に理解し,また,子供たちにも理解させてきたことを感謝しています。

私どもは,やはり私人として過ごすときにも,自分たちの立場を完全に離れることはできません。ただ,行事などで,立場上の必然性から天皇として臨む場合と,より私的に自分自身を高め充実した自己を作るために臨む場合とに分けられ,その比重は,前者の方に多く掛かっております。


皇后陛下 http://archive.fo/xRxlh