平成12年

天皇陛下 http://archive.fo/rbDpT

吹上大宮御所は,私どもの住んでいる御所からすぐの所にあります。週末には大抵皇后や紀宮,時には秋篠宮一家を交えて吹上大宮御所をお訪ねしていました。皇后は,香淳皇后がお元気であったころと変わりなく心を込めてお尽くししていました。また,秋篠宮の子供たちが一緒の時には,いつも子供たちを香淳皇后のおそばに連れて行き,二人が皇后に倣いお手を一生懸命さすったりしているのが印象に残っています。香淳皇后崩御された時に,秋篠宮家の子供たちが,お見舞いしたいということを言ったことを,秋篠宮が話していますが,このようなことから香淳皇后に親しみを感じていたことと思います。香淳皇后がもう御生存ではいらっしゃらないのだということをしみじみと感じたのは,崩御の夜,祗候しこうのために吹上大宮御所を訪れた時のことでした。帰り道,空を仰ぐと月がこうこうと照っていました。昭和天皇崩御から11年,吹上大宮御所に勤める職員が皆誠意を持って勤めてくれたことを感謝しています。香淳皇后は,早くから高齢化の兆しがおありになり,香淳皇后とお話らしいお話ができたのは随分前のことになります。その分を昭和天皇がお心を遣われ,私どもの子供たちとの話も務めてくださったことを感謝とともに思い出します。香淳皇后について印象に残っていることは多々ありますが,戦後親子兄弟が,一緒に過ごす機会が多くなったころの香淳皇后の朗らかな印象は,私の記憶に深く残っています。

私の皇太子のころは警備が非常に厳しく,対向車も止めるという時代でした。私どもが各地を訪問する時,どうしても規制による影響が出ることは常に心苦しく思うことですが,近年は対向車を通すなど,警察も工夫や努力を重ねてくれていることをうれしく思っていました。この度の質問にある,度重なるリハーサルということは初めて耳にすることですが,このような質問に対しては私はお答えを控えたいと思います。できるだけ市民生活を妨げない警備ということは,警察も心掛けていると考えられますので,宮内庁が警察と十分に話し合い,良い道を求めていくことが大切と思います。

明治天皇の御製にも「とつくに(外国)とむつみかわす」というのがよくありますが,そのような明治天皇のお気持ちであったと思います。そして,翌年には,日英同盟が成立しています。


皇后陛下 http://archive.fo/ETcOS